【助産学生必見】辛い助産学実習を乗り越えるために|自分を労わる心があなたを支える

助産学生

『助産実習が辛い、乗り越えるためのコツを知りたい』

今回はこちらのお悩みを解決する種をお届けします。

助産師は「いのちの誕生」に関わる、尊くやりがいのある仕事です。
しかし、その道のりは決して平坦ではありません。とくに助産学実習は、身体的にも精神的にもハードな期間。分娩介助件数のノルマ、厳しい指導、眠れない日々…「本当に私、助産師になれるのかな」と不安になる学生さんも少なくありません。

私自身、助産学生のころは何度も壁にぶつかりました。そんな時に友人から言われて心に残っている言葉があります。

「自分を大切にできて初めて、他の人のことも看れるんじゃないかな」

この言葉が今も私の支えになっています。
本日は、助産実習を自分を労わりながら乗り越えるための考え方と実践のコツをお伝えします。


助産学実習が辛いと感じる理由

まずは、多くの助産学生がぶつかる「辛さ」の正体を整理してみましょう。
辛さを言語化することで、少し心が軽くなることもあります。

1.分娩介助件数に差が生まれる

助産学実習では、分娩介助10例の達成が一つの大きな目標です。ですが、これは実習先の施設や、どんなお産に当たるかによって大きく差が出ます。

例えば——

Aさんの場合

  • 1日目:全開の初産婦さんを受け持ち → 分娩介助 1例目
  • 2日目:破水&陣痛発来した経産婦さんを受け持ち → 分娩介助 2例目

Bさんの場合

  • 1日目:陣痛発来の初産婦さんを受け持つ → 陣痛間隔が空き、実習終了
  • 2日目:同じ方を受け持つ → 回旋異常で帝王切開 → 分娩件数 0件

このように、努力だけではどうにもならない部分があるのが現実です。
「件数が足りない=自分ができていない」と思い込んでしまう学生さんも多いですが、それはあなたのせいではありません。


2.命に直結する実習だからこそ、指導も厳しい

助産学実習は、母子の安全に直結する場。教員や助産師の指導も自然と厳しくなります。
「怒られた」「注意された」と落ち込むこともあるかもしれませんが、それはあなたを否定しているわけではなく、母子の安全を守るためです。現場に出るとその意味がよく分かるようになります。


3.分娩介助の緊張感と無力感

初めて「いのちの誕生」に立ち会う場面では、想像以上の緊張感に包まれます。
自分の手技の未熟さに落ち込んだり、何もできない無力感に涙する夜もあるかもしれません。
でも、それは誰もが通る道です。今の「できない」は、未来の「できる」ための大切な過程です。


4.記録が多くて睡眠時間が確保できない

助産学実習では、日中の実習後に膨大な記録を提出しなければなりません。
アセスメントやSOAP、看護計画の見直しなどで夜遅くまで記録に追われ、2〜3時間睡眠で翌朝の実習に向かう学生も少なくありません。

睡眠不足は集中力や判断力の低下を招き、実習中のパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。
体力・気力の限界で実習を続ける状態は、長い実習生活の中で心身をすり減らしてしまう大きな要因になります。


助産学実習を乗り越えるための5つのヒント

では、どうすればこの辛い実習を乗り越えられるのでしょうか?
ここでは、私が実際に意識していたこと・やってよかったことを5つ紹介します。


1.周囲の意見を“選別”する

実習中は、周囲からいろいろな情報が入ってきます。
「私はもう5件分娩介助終わったよ」「ここの先生厳しいらしいよ」など、焦りや不安を煽る言葉も多いですよね。

でも、そのすべてを真に受ける必要はありません。
大切なのは、自分のペースと軸を守ること。人と比べる時間を、自分の学びに使いましょう。


2.完璧を目指さず、「できない」を認める

学生の分娩介助10件で、完璧な助産技術が身につく人はいません。
助産師になってからも、分娩介助は毎回が学びの連続です。

「今はまだ完璧じゃなくていい」
そう自分に言い聞かせるだけでも、心の余裕が生まれます。


3.小さな「できた」を振り返る

振り返りノートには、失敗だけでなく小さな成功も書き出してみましょう。

  • 「腰をさすってもらって楽になった」と言われた
  • 足浴をして産婦さんがリラックスできた
  • 声かけで少し笑顔が見られた

こうした一つひとつの関わりも、確かにあなたが提供した助産ケアです。
それを積み重ねることが、自信に変わっていきます。


4.他人と比べない|件数はコントロールできない

分娩件数は、自分ではどうにもできない部分です。
件数にとらわれすぎると、本来の目的である「産婦さんと赤ちゃんのためのケア」が見えなくなってしまいます。

大切なのは、「何件取ったか」ではなく「そのお産にどう関わったか」
回旋異常や微弱陣痛など、なかなか進まないお産に当たったときも、「なぜ進まないのか?」「どうケアすればいいのか?」と考える姿勢が、助産師としての力を育てます。


5.睡眠時間を優先し、完璧を求めすぎない

記録はもちろん大切ですが、完璧に仕上げることよりも自分の健康を守ることが最優先です。

  • 優先順位をつけ、翌日に回せる部分は無理にやらない
  • テンプレートや記録の型を活用して効率化する
  • ある程度「7割」で提出する勇気を持つ

睡眠を削って頑張ることは一時的には成果につながるかもしれませんが、長期的には心身をすり減らします。
実習を乗り越えるためには、「頑張り続けること」よりも「続けられる状態を維持すること」が何より大切です。


6.辛いときは、休んでもいい

これはとても大切なことです。
実習中は視野が狭くなり、「ここでつまずいたら終わり」と思い詰めてしまいがちですが、助産師だけが人生の選択肢ではありません。

どうしても辛いときは、一度立ち止まってもいい。
一度離れて、また戻ってくる道もあります。あなたのペースで大丈夫です。


おわりに|自分を大切にすることが、助産の原点

助産学実習は、多くの学生にとって人生で一番濃い時間です。
泣いた夜、悔しかった経験、支えてくれた仲間や先生…そのすべてが、あなたを強く優しい助産師に育ててくれます。

そして何よりも大切なのは、自分を大切にすること。
「自分を大切にできて初めて、他の人のことも看れる」
その言葉を胸に、一歩ずつ進んでいきましょう。

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