助産師1年目が辛いあなたへ:辞めるか続けるか、その前に考えてほしいこと

助産学生

助産師1年目。

仕事に行っても、できないことばかり。

先輩に怒られて、落ち込んで、また次の日が来る。

先輩のシャドーイングのもとでケアをする緊張感。

自分の判断に自信が持てない怖さ。

小さなミスを何度も思い返してしまう夜。

休日になっても、疲れてベッドから動けない。

「こんなはずじゃなかった」

そう思いながらも、

「まだ1年目なんだから」

「ここで辞めたら逃げなのかな」

「どこに行っても同じなのかな」

「この仕事を一生続けていけるのかな」

そんなことを考え続けている人はいないでしょうか。

これは、去年の私です。

今、助産師2年目になった私が、1年前の自分に伝えたいことを書いてみようと思います。

これは、「辞めたほうがいい」という記事でも、「1年目は辛くて当たり前だから頑張ろう」という記事でもありません。

あの頃の私のように、「どうしたらいいのか分からない」と悩んでいる人が、自分の人生を選ぶための選択肢の一つになればと思っています。

助産師1年目が辛かった理由

私が1年目に辛いと感じていたことは、いくつもありました。

仕事に行っても、できないことしかない

助産師として働き始めたら、少しずつできるようになると思っていました。

でも実際は、毎日のように「できない」に出会います。

分娩介助、産後の観察、授乳支援、記録、報告、急変時の対応。

学校で勉強してきたことと、実際の臨床で必要とされることは、全く同じではありません。

「勉強したはずなのに分からない」

「どうして自分はできないんだろう」

そんな気持ちになりました。

先輩に責められる、怒られる

新人だから、できないことがある。

頭では分かっています。

それでも、注意されたり、怒られたりすると、

「またできなかった」

「私って助産師に向いていないのかな」

と、自分自身まで否定されたような気持ちになっていました。

先輩の監視下でケアをするプレッシャー

新人のうちは、先輩に見てもらいながらケアをすることが多いと思います。

安全のために必要なことだと分かっていても、

「次、何をするんだっけ」

「間違えたらどうしよう」

「先輩にどう思われているんだろう」

と緊張してしまう。

一人でできるようになりたいのに、一人ではできない。

そのもどかしさもありました。

ミスをして落ち込む

ミスをすると、その日のことだけでは終わりません。

帰宅してからも思い出す。

寝る前にも思い出す。

次の勤務に行くのが怖くなる。

「また同じことをしたらどうしよう」

そんなふうに、仕事が終わっても頭の中では仕事が続いていました。

休日も疲れて寝るばかり

せっかくの休みなのに、疲れてベッドから出られない。

寝て、起きて、また寝る。

友達と会うことも減って、好きだったことをする余裕もなくなる。

気がつけば、生活の中心が「仕事」になっていました。

理想と現実のギャップ

そして、一番苦しかったのは、

「私が思い描いていた助産師人生と、現実が違う」

ということだったのかもしれません。

助産師になったら、もっとお母さんたちと話して、もっと寄り添って、もっと「助産師になってよかった」と思える毎日になると思っていました。

でも現実は、目の前の業務をこなすことで精一杯。

「私は何のために助産師になったんだろう」

そんな疑問を抱くこともありました。

私の場合、「仕事」だけが辛かったわけではなかった

さらに私の場合、1年目は仕事だけではなく、人生設計そのものが崩れた1年でした。

仕事も上手くいかない。

恋愛も上手くいかない。

思い描いていた未来も分からなくなる。

大好きな友人や家族と一緒にいても、頭の片隅にはいつも、

「この先どうしたらいいんだろう」

「どうするのが正解なんだろう」

という不安がありました。

以前なら楽しいはずの時間も、心から楽しめない。

家に帰っても、ベッドから動けない。

そして、一日が終わる。

まさに私は、仕事でも人生でも「理想と現実のギャップ」に苦しんでいました。

「辞める」という選択肢を探し始めた

もちろん、辞めることも考えました。

他の就職先や職業を探しました。

複数の転職サイトにも登録しました。

看護業界のエージェントにも登録しました。

地元のワークライフバランスを重視した精神科病棟を見学し、面接も受けました。

保健師養成学校について調べたり、公務員試験を受けることも考えたりしました。

他の業界にも応募しました。

でも、看護・助産以外の仕事では、書類選考すら通らないこともありました。

「じゃあ、どうしたらいいんだろう」

辞めたい。

でも、収入も欲しい。

自分のやりたいことも諦めたくない。

地元にも帰りたい。

でも、今まで積み上げてきたものも無駄にしたくない。

全部を満たしてくれる選択肢は、なかなか見つかりませんでした。

だから余計に、

「この環境にとどまらなくてはいけない」

という苦しさを感じていました。

どんなアドバイスをもらっても、しっくりこなかった

家族や友人にもたくさん相談しました。

「一度休職したら?」

「本当に無理なら地元に戻ったら?」

「転職してもいいんじゃない?」

いろいろな言葉をもらいました。

でも、どの言葉もしっくりきませんでした。

今思えば、私自身がまだ、

「自分はどうしたいのか」

を決められていなかったからだと思います。

そして、ある友人からこんなことを言われました。

「毎回同じこと言ってるよ。何言っても、何も変えてないんだから、自分で一回何か変えてやってみな。」

その言葉は、当時の私には少し痛かった。

でも、今振り返ると、その通りだったと思います。

「答えをもらう」のではなく、自分で選択肢を調べてみた

そこから私は、

「自分が考えられる選択肢を、一度全部調べてみること」

にしました。

続ける。

転職する。

地元に戻る。

精神科に行く。

保健師になる。

公務員になる。

助産師を続けながら別のことをする。

すぐに答えを出すのではなく、

「こういう道もあるんだ」

と知ることから始めました。

すると、少しずつ気持ちが変わっていきました。

「今の職場を辞めたら人生が終わる」

と思っていたけれど、

実際には、人生には思っていたよりたくさんの道がありました。

そして、生活の中で「自分」を取り戻した

もう一つ大切だったのが、

「生活の中で、自分と向き合う時間を取り戻すこと」

でした。

自炊をする。

ちゃんと眠る。

アロマを焚く。

温泉に行く。

好きな場所に行く。

友達と話す。

家族と過ごす。

仕事とは関係のない本を読む。

小さなことばかりです。

でも、そうやって少しずつ、

「私は何が好きだったんだろう」

「どんな生活をしたいんだろう」

「どんな人生なら、自分らしいと思えるんだろう」

と考えられるようになりました。

そこで初めて気づきました。

私は、

「仕事が人生」

になっていた。

ということに。

「自分があっての仕事」だった

当時の私は、

「助産師としてできるか」

ばかり考えていました。

できない。

怒られる。

またできなかった。

だから私はダメなんだ。

いつの間にか、

「仕事ができないこと」と「自分には価値がないこと」が、同じになっていたのだと思います。

でも、本当は違います。

助産師としてできないことがある。

それは、

「今の私にはまだできないことがある」

というだけです。

私という人間そのものを否定するものではありません。

仕事が上手くいかない日があっても、

私は家族の娘であり、友人であり、

好きなものを好きだと思える一人の人間です。

「自分があって、その中に仕事がある。」

仕事があって、その中に自分がいるのではない。

この感覚を取り戻せたことが、私にとっては大きかったです。

私は「続ける」という選択をした

最終的に私は、助産師を続けることにしました。

そして今、2年目になりました。

もちろん、環境そのものが劇的に変わったわけではありません。

今でも仕事で辛いことはあります。

できないこともあります。

落ち込むこともあります。

でも、1年前とは明らかに違います。

できることが増えました。

少しずつ判断できることも増えました。

以前より、周りが見えるようになりました。

そして何より、

「できない=自分はダメな人間」

とは思わなくなりました。

去年の私は、

「できない自分」を責めていました。

今は、

「まだできないことがある。じゃあ、どうしたらできるようになるだろう」

と考えられることが増えました。

これは、1年目の自分には想像できなかった変化でした。

だから、「辞めるな」とは言いたくない

私が続けることを選んだからといって、

「1年目は辛くても、続ければいい」

とは思いません。

今抱えている辛さは、人それぞれだからです。

同じ新人助産師でも、辛さの種類も、程度も、置かれている環境も違います。

そして、その辛さを他人が、

「1年目なら普通」

「それくらいみんな経験する」

と評価するものでもないと思います。

心が限界になるくらいなら、一度立ち止まっていい。

休んでもいい。

環境を変えてもいい。

助産師を辞めてもいい。

地元に戻ってもいい。

別の仕事をしてもいい。

そして、続けてもいい。

私と同じ時期に悩んでいた看護師の友人は、今は看護師ではなく営業の仕事をしています。

当時とは表情が変わり、今は自分らしく、にこやかに働いています。

それを見て、

「人生って、思っていたより自由なんだな」

と思いました。

もし今、助産師1年目で辛いあなたへ

もし今、

「もう辞めたい」

と思っているなら。

すぐに結論を出さなくてもいいと思います。

でも、

「辞めるか、続けるか」の二択だけにしなくてもいい。

まずは、自分の選択肢を増やしてみてください。

① 何が辛いのかを書き出してみる

「助産師という仕事」が辛いのか。

「今の職場」が辛いのか。

「人間関係」が辛いのか。

「夜勤」が辛いのか。

「できない自分を責めてしまうこと」が辛いのか。

「仕事中心になっている生活」が辛いのか。

一つずつ分けてみる。

原因が違えば、必要な対策も変わります。

② 「辞めたらどうする?」を具体的に調べる

転職サイトを見るだけでもいい。

他の病院の求人を見る。

助産師外来のある施設を調べる。

クリニックを調べる。

保健師について調べる。

全く違う仕事について調べる。

「辞める」と決めるためではなく、

「私にはこんな選択肢もある」

と知るために。

③ 仕事以外の自分を取り戻す

好きなものを食べる。

眠る。

お風呂に入る。

温泉に行く。

友達に会う。

家族と話す。

散歩する。

本を読む。

何でもいい。

「仕事ができる私」ではなく、

「ただの私」が心地よい時間を少しずつ取り戻してほしい。

④ 信頼できる人に話す

一人で抱えなくていい。

家族でも、友人でも、同期でも、先輩でもいい。

必要であれば、職場の相談窓口や医療機関など、専門的な支援につながることも選択肢です。

ただし、誰かに相談したからといって、その人の答えに従う必要はありません。

最後に自分の人生を選ぶのは、自分だからです。

「正解」を探さなくてもいい

1年前の私は、

「どうするのが正解なんだろう」

とずっと考えていました。

でも、今になって思います。

人生には、最初から用意された正解があるわけではないのかもしれません。

辞めたから失敗。

続けたから成功。

そんな単純なものでもない。

そのときの自分が考えて、選んで、進んでみる。

そして、もし違ったと思ったら、また選び直せばいい。

私は今、助産師を続ける選択をしてよかったと思っています。

でもそれは、

「続けることが正解だった」

からではなく、

「あのとき自分で考えて、自分で選んだから」

だと思っています。

仕事だけが、自分の人生ではない

助産師になることを夢見て、たくさん勉強して、実習を乗り越えて、国家試験を受けて。

やっと手にした「助産師」という仕事。

だからこそ、

「辞める」

という言葉に大きな抵抗がある人もいると思います。

でも、助産師を辞めることと、

助産師になるために頑張ってきた自分を否定することは、

同じではありません。

続けることも一つ。

離れることも一つ。

少し休むことも一つ。

別の場所で助産師をすることも一つ。

全く違う仕事をすることも一つ。

どんな道を選んでも、

その道を歩いていく中で、また自分の人生をつくっていけばいい。

最後に

助産師1年目の私は、

「この先どうしたらいいんだろう」

と毎日のように悩んでいました。

あの頃の私に、今の私が声をかけられるなら、

「今は何も決めなくていいよ」

と伝えたい。

「でも、自分のことを置き去りにしないでね」

とも伝えたい。

仕事ができない日があってもいい。

怒られる日があってもいい。

泣いて帰る日があってもいい。

辞めたいと思ってもいい。

続けたいと思ってもいい。

迷ってもいい。

大切なのは、

「助産師としてどうあるべきか」だけではなく、

「私はどんな人生を生きたいのか」

を忘れないこと。

仕事は、人生の一部です。

あなたの人生そのものではありません。

そして、今いる場所が苦しいからといって、

あなたの人生まで苦しいと決まったわけではありません。

私もまだ、人生の途中です。

これからまた、迷うこともあると思います。

それでも、自分の「好き」を大切にしながら、

自分で選びながら、

一歩ずつ進んでいきたいと思っています。

もしこの記事を読んでいるあなたが、去年の私と同じように、

「どうしたらいいのか分からない」

と思っているなら。

今日すぐに答えを出さなくてもいい。

まずは、自分の心の声を聞くことから始めてみてください。

あなたの人生は、あなた自身のものだから。

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